専攻概要

ご挨拶

東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻のご紹介

健康科学・看護学専攻では、人々が健康で幸せな生活を送るために必要な科学的な方法論を開発し、実装することに取り組んでいます。私たちは最先端の研究の推進と次世代を担う研究者や実践者を育成しています。

日本は大きな発展を遂げたものの、少子高齢化やジェンダー格差などの課題を抱えています。疾患や加齢、障害などにより、社会経済的要因による健康格差が生じ、社会参加が妨げられ、生活の質(quality of life)が保障されていない人々も多くいます。私たちの学際的なアプローチは、個人、家族、コミュニティ、地域、国の各レベルで要因を特定し、対処することで、効果的な解決策を実装していきます。またケアのあり方そのものを見直し、多様なコミュニティにおいて相互支援を行うことで、人々の生きる力を最大限引き出すことができる社会の実現を目指しています。さらに社会の未解決課題に取り組む知の体系化に向けて、複数の学問分野の専門家が学際的かつ市民や当事者とともに研究を推進していくことが必要と考えています。

当専攻では健康科学と看護科学の連携により、多様な学問領域が協働する機会も多く、広範な人々の健康の維持、増進、回復及び生活の質(quality of life)の改善に貢献するための研究・教育が行われています。詳しくは、各分野のウェブサイトをご覧ください。やる気に満ちた学生のみなさんからの修士課程、・博士課程への応募をお待ちしています。

2023年4月1日 健康科学・看護学専攻長 春名 めぐみ

沿革

本専攻は60年間にわたり、日本の健康科学・看護学の大学院教育を牽引する役割を果たしてきました。私たちは、いっそう複雑化・深刻化する現代の健康問題に対して、健康科学・看護学の深い理解と最先端の知見から解決策を提案・実行できる研究者・職業人を育成しています。

健康科学・看護学専攻の前身は、昭和39年(1964年)に東京大学大学院生物系研究科医学専門課程に設置された衛生看護学修士課程です。専門課程の教育 はさらに昭和28年(1953年)の衛生看護学科設置まで遡り、2013年度には専門教育60年の歴史を迎えることとなりました。この60年の歩みは日本 で最も歴史の長い健康科学・看護学の教育・研究活動であり、本専攻では多面的かつ先進的なアプローチの学びを通して、各世代の健康科学・看護学を担う優れ た研究者と職業人の育成を行い社会に貢献してきました。

近年、いっそう複雑化・深刻化する現代の健康問題に対して、社会的な要請はますます高まりをみせてきており、単なる健康維持や増進のための技術的な対応で はなく、人間の健康を、成長発達、疾病の原因の探索と予防・治療、さらに健康という事象の本質までを含めて幅広く科学的に解明し、探究することが求められ ています。すなわち人々の健康について「人間を対象とした生命科学・生物学的研究」、「人間の生物学的側面を重視しつつ社会のしくみを考える研究」、「健 康の保持と回復を支援する方法の開発・研究」などの多様な側面からの展開が、これからの大きなテーマであり、今後、これら多様な要請等に対し、柔軟かつ主 体的に行動できる、新しいタイプの「健康科学・看護学」分野の人材が求められています。

現在、本専攻は修士課程(2年)と博士後期課程(3年)から成っています。修士課程では、統合的かつ専門的な健康科学・看護学方法論を学びます。医学系研 究科にある3つの他専攻(医科学専攻、国際保健学専攻、公共健康医学専攻)との相互連携により、知識と技術を複合的に身に付けることができます。博士後期 課程では、各看護学分野のより専門化した研究・教育に加え、公共健康医学専攻(通称SPH)に関連する生物統計学、疫学、保健社会行動学、医療倫理学、健 康増進科学、精神保健学といった分野から構成されます。高度な教育を行う東京大学の大学院にふさわしく、個別の分野の集合体ではなく健康科学・看護学の本 質的な探求を実現できる教育組織として、将来の健康科学・看護学分野の牽引を志向する優秀な人材を積極的に受入れています。

年表(太字:大学院関連)

昭和22年東京帝国大学は、東京大学となった。
昭和28年医学部に衛生看護学科が設置・全国で2番目の4年制大学内の看護系学科となる。
専門課程教育は主に附属病院分院のあった小石川キャンパスであった。
昭和30年看護婦養成施設が、医学部附属看護学校と改称設置された。
昭和31年助産婦養成施設が、医学部附属助産婦学校と改称設置された。
昭和39年生物系研究科に衛生看護学専門課程として全国初の看護学系大学院修士課程が設置された。
昭和40年衛生看護学科から保健学科に名称変更。人類生態学・疫学・保健栄養学・看護学・保健社会学・成人保健学・母子保健学・精神衛生学の8講座が置かれた。
生物系研究科医学専門課程が医学系研究科となり、衛生看護学専攻は保健学専門課程と改称された。
昭和41年保健管理学講座が増設され、9講座となる。
保健学専攻に全国初の保健学系大学院博士課程として博士課程設置
昭和42年医学部3号館が竣工
昭和44年カリキュラムが変更され、卒業論文が導入
昭和58年医学部3号館別棟完成
昭和59年保健学同窓会設立
昭和60年保健学科創立20周年式典
昭和62年東京大学大学院専門課程は専攻となった。
平成4年保健学専攻から健康科学・看護学専攻に名称変更
成人保健学、精神衛生学、看護学の各講座が、それぞれ成人保健・看護学、精神衛生・看護学、基礎看護学へと改称。地域看護学、家族看護学の2講座を新設。健康科学担当7講座と看護学担当4講座の体制となる。
看護短期大学からの編入学制度を導入
大学院に国際保健学専攻が設置される。
平成8年大学院重点化構想に基づく大学院講座制への移行に伴い、保健学、国際保健学専攻(独立専攻)が廃止され、それぞれ健康科学・看護学、国際保健学専攻へと改組。健康科学・看護学専攻内の複数の講座がそれぞれ2つの専門分野に分かれる。健康科学・看護学科は学部教育に責任を持つ組織となる。
平成14年医学部附属看護学校および助産婦学校が閉校となる。
母性看護学・助産学および老年看護学の両分野が新設される。
平成15年旧看護学校・助産婦学校校舎が医学部5号館と改称し、看護系5講座が移転する。
助産師学校の指定をうける。
学科50 周年式典を開催
平成16年東京大学は、国立大学法人東京大学となった。
平成19年医学系研究科に公衆衛生の専門職大学院(公共健康医学専攻)が設置された。
平成22年健康総合科学科に名称変更
平成25年学科60周年式典を開催
令和5年学科70周年式典を開催

アクセス

<住所>
〒113-0033
東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科
健康科学・看護学専攻